またこんど

まっすぐに射すひかりに似た、強い腕。
そいつを払いのけられるだけの力が、
きみにはまだ残っていた。
ぎりぎりのライフ。シビアな現実。
引き出しの奥に仕舞っておいた、
だからたいせつなんだって、
なんども聞かされたものだから、よく覚えてる。

この曲がり角が待ち合わせ場所。
いつきみが来てくれてもいいようになってる。
喋ってても黙ってても、
ぼくらには、時間ならたっぷりありますからね。

あの感触をまだ覚えてる?
払いのけたとき、すこし痛かったけど、
ふれれば柔らかそうだった。
握りかえしたら、あったかいかもしれないね。
こんど確かめてみようと思うんだけど、
いいかなあ?

なにいってるんですか、
許可なんて、いらないじゃないですか。
ぼくらには、時間ならたっぷりありますからね。
行くも戻るも、自由です。
この曲がり角が、待ち合わせ場所。
またこんど、教えてくれたらうれしいです。

それは風みたいなものでした。
見えなくても、さわれなくても、
届くってことが、たいせつだったみたいです。
そうやって、めぐっていくみたいです。
行くも戻るも留まるも、自由。
ぼくらの暮らすところはどこも、
似ているのかもしれないね。

(2025.6)