何かのうた

あのとき悲しかったのは
あなたがはじめて聴かせてくれた
歌だけだったと気づく頃

あの虹さえもレコードの
溝に入った傷跡のよう
どんな歌でも切ないと知る

あれから怖がらなくなったのは
みずからの手で終わらせること
愛しいものであればあるほど

繰り返し口ずさむうちに
何だったのか忘れる何か

ずっとずっと好きでいたら
変わったのかもしれない何か